子どもの頃味わったお楽しみは数あれど、夏の記憶の中で一番のピカイチは昆虫採集だ。朝、4:00〜5:00に弟と家を出て、雑木林へ。力の限り、木の幹を蹴る。するとバラバラバラバラと虫が降ってくる。「あ、落ちたな」という方向を覚えておき、探して歩く。このある意味ストレス発散にもなっていただろう方法が、一番手堅く虫を採集できるやり方だった。雑木林の次は柳の木、柳の木の次は桑の木の近くにある名も知らぬ木、一応公園も、といったふうに一通りパトロールし終わる頃には、太陽がぎらぎらと照りつけてくる。
様々な木を渡り歩いている間、甲虫だけに遭遇しているわけではない。いろんな虫が樹液をすすりにやってきている。中でもとりわけおそろしいのはスズメバチ。顔も体つきも体色も何もかもがこわかった。今だってこわい。いつか秋口に動物園で缶ジュースを飲んでいたら、いきなりオオスズメバチが飛んできて缶ジュースにまとわりつき、周囲は大パニック。
田舎で育った人間ならば、鈍であれ鋭であれ、虫の羽音にはすぐ反応するはずだ。わたしは特別「ハチの羽音」に敏感だと思う。その性能のよいセンサーのおかげか、幼い頃から一度もハチには刺されたことがない。ただたまたま運がよかっただけか。
ベランダで洗濯物を干していると時々ハチの羽音がする。じっと黙って耳を澄ましていると、やがてそれが隣の家のおばあさんの唱えているお経だということがわかる。今までにも何度か騙されている。忙しそうにみつの間を飛び回るミツバチの羽音にそっくりなお経。昨日の羽音もそれかと思ったが、なんと本物のハチ。軒下に巣を作っていた。
夜、果敢に物干し竿で巣を落とす。ごめんね、ハチさん。わたしも自分の子どもを守らなくてはならないの。すみません。
様々な木を渡り歩いている間、甲虫だけに遭遇しているわけではない。いろんな虫が樹液をすすりにやってきている。中でもとりわけおそろしいのはスズメバチ。顔も体つきも体色も何もかもがこわかった。今だってこわい。いつか秋口に動物園で缶ジュースを飲んでいたら、いきなりオオスズメバチが飛んできて缶ジュースにまとわりつき、周囲は大パニック。
田舎で育った人間ならば、鈍であれ鋭であれ、虫の羽音にはすぐ反応するはずだ。わたしは特別「ハチの羽音」に敏感だと思う。その性能のよいセンサーのおかげか、幼い頃から一度もハチには刺されたことがない。ただたまたま運がよかっただけか。
ベランダで洗濯物を干していると時々ハチの羽音がする。じっと黙って耳を澄ましていると、やがてそれが隣の家のおばあさんの唱えているお経だということがわかる。今までにも何度か騙されている。忙しそうにみつの間を飛び回るミツバチの羽音にそっくりなお経。昨日の羽音もそれかと思ったが、なんと本物のハチ。軒下に巣を作っていた。
夜、果敢に物干し竿で巣を落とす。ごめんね、ハチさん。わたしも自分の子どもを守らなくてはならないの。すみません。
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