フリース

2004年10月5日
寒いんです、半袖じゃもうだめ。
フリースが心地いい。

朝から、娘を母を夫を別々に駅へ運んでいる。
慌ただしい一日の始まり。

iTunesのラジオからチェロの無伴奏が流れてきた。
いついかなるときにもバッハが大好きだけど、
とりわけ今日みたいな日にはぴったりだ。

昨日に引き続き、雨雨雨。
秋へストンと落っこちてしまった。
シスターズに秋冬物を羽織らせて
熱帯魚の水槽に26℃固定ヒーターをセット。
ハムちゃんずには巣材を多めに与えて

さて困ったのはコクワガタのコックンだ。

彼は、車で10分ほどの昆虫サンクチュアリのある
公園に放してあげようかと思っていたんだけど
そしたら急にこんなに寒くなっちゃって。
これじゃあツユちゃんのときと同じになっちゃう。

秋は大好きだけど、もうあと何日か暑い日に戻ってきてほしい。
コックンの冬眠の態勢が整うまでお願い!>神様

ありがとう

2004年9月13日
今日、サトクダマキモドキのツユちゃんが永眠しました。
5月24日に我が家に来てから約4ヶ月、わたしの心を和ませて
くれました。ありがとう。草むらに放してあげる決心がつかな
くてごめんなさい。ずっと狭い虫かごで暮らさせてしまった。

また会おうね。どこかでいつかまた会おうね。
5月24日、オレンジ色のバラの花束を買った。花びらの間から元気よく飛び出した米粒大のバッタ。それがツユちゃんとの出会いだった。昆虫図鑑でもnetでもいろいろと調べてみたけれど、ツユちゃんが本当はなんという種類のバッタなのかわからなかった。こうなったら成体になるまで育てて、正体を突き止めてやる! そんな風に思って飼い始め、2ヶ月半の時が過ぎた。

オトナになる日は突然やってきた。夜寝て、朝起きてきたら、最後の脱皮が終わっていて、見慣れぬ大きな羽が堂々と伸びていた。驚愕した。もちろん家族も大騒ぎ。ツユムシかな?と思って「ツユちゃんツユちゃん」と呼んでいたが、育ってみれば、彼の正体はツユムシではなく、クサキリという種類のバッタだった。

最後の脱皮を終えてから忙しい日々が続き、娘たちは3泊4日のキャンプに出かけてしまった。昨日帰ってきたので、今日こそは河原にツユちゃんを放しに出かけ、お別れ式をしようと思っていた。

ところが今朝のことである。ツユちゃんは水槽から脱走し、それを捕獲しようとした母の手元が滑って後肢が一本取れてしまった。ツユちゃんをどうしたらいいだろう。今までも家族の中ではこのまま死ぬまで家で安全に飼いたいという意見の者と、わたしを筆頭に、いやいや例えどのような目に遭おうとも自然の中でありのままに思い切り生きた方がよいという者と意見は二分していた。

わたしが「ありのままに」と思っていたのは、ツユちゃんが五体満足だったからだ。今となっては…。できるだけ広い飼育ケースに土や草を入れて、自然に近い環境で生を全うできるよう尽力するのみ。ごめん、ツユちゃん。本当にごめん。

この間、トンボ(ヤゴ)を飼っていた時にも、同様の意見の相違が気にかかった。死生観がこんなところに表れる。いつも威勢のいいこと(いつ死んでも悔いなんかないよなど)を言っている母が案外「どこにもやらずにうちで飼おうよ。外に出したらあっという間に鳥に食べられちゃう。かわいそうだよ!」と真顔で言う。それに対し大抵わたしが「こんな狭い場所に閉じこめて、結婚も出来ずに死んじゃうなんて不幸せだよ!」と言うのだ。

この母が病気になって生き死にと真剣に向き合わざるを得なくなったとき、わたしはこの意見の相違を頭に入れて事態を検討しなくては…そんなふうに強く感じた。母は飼っていた金魚が死んでしまったときに、愛しさゆえにその遺体を冷凍庫で凍らせて長い間捨てることができなかった、そんな人なのだ。
羽化する前のヤゴは数日前からエサを食べなくなり、水面に顔を出していることが多く「あぁもうそろそろトンボになるんだな」と兆しを感じることができる。わたしの家に来たヤゴは全部で14匹。

1匹はギンヤンマ
1匹はシオカラトンボ
1匹はノシメトンボ
2匹はギンちゃんに噛まれて死んじゃったヤゴ
残りの9匹は全部コノシメトンボ

ギンちゃんは我が家の王様らしく、一番最後に華々しく羽化をした。あらかじめ立ててあった棒に登り、しばらくじっとしていて、そのうちに背中が割れたかな?と思ったら顔をぴょこっと出した。反り返りながら頭を下にして、ヤゴのスーツを脱いでいく。これ以上反り返ったら水に落ちちゃうよ、という緊迫感を観客に与えながら時間はのんびり過ぎる。と、出し抜けに、体操選手のする腹筋のように軽々と上体を起こし、脱ぎかけのヤゴの殻に掴まる。このあとはひたすらゆっくりゆっくり、羽を、胴体を、朝までかけて伸ばしていくのだ。最後の方におしりからあまった水分を落とす。ポタポタポタ。
 
昨日、ヤゴを捕まえてきた張本人のマリと一緒に、車で30分ほどの距離にある公園にギンちゃんを放しにいった。もう夜になっていたせいか、ギンちゃんは木の葉っぱに掴まったまま、飛ばなかった。ふたりでおまじない。ギンちゃんにまた会えますように。ギンちゃんが無事に結婚できますように。ギンちゃんが幸せになれますように。ギンちゃん、ありがとう、元気でね!

虫が大嫌いな娘たち。でもやっぱりわたしが夢中になって世話をしている生き物については、興味が出るものらしい。ヤゴ、ツユムシ(バッタ)、おんぶバッタ、熱帯魚、メダカ、ヌマエビ、ハムスター、セキセイインコ、ネコ。みんなが清潔に満ち足りて暮らしているのを見るのが大好きだ。娘たちが甘い声を出して、それらに語りかけているのを聞いたりするのが大好きだ。部屋の乱雑さは置いておいて、家の中に広がる優しい何かを探してこれからも…。
さて。冷凍のアカムシには見向きもせず、体もひとまわり小さくなってしかったかにも見えるギンちゃん。弱ったギンちゃんはイキのいいボウフラを、ちゃんと捕まえることができるのだろうか。

友人のくれたボウフラどもは、使わなくなった植木鉢の中に湧いていた。泥と落ち葉が底に沈んだなんとも汚い容れ物の中に「よくもこんなに!」という数のボウフラが泳いでいる。ギンちゃんは、いつの日にか(羽化する日)のために立てておいた棒に捕まって、じっとしている。

わたしはおもむろにその棒を掴み、ギンちゃんごとボウフラ天国の中へと入れてみた。相変わらずギンちゃんはほとんど動かない。却ってボウフラの方が元気がよく、ギンちゃんの体を突ついているような素振りさえ見える。まずい、ギンちゃんがやられてしまうかもしれない、そう思った瞬間だった。ギンちゃんはボウフラの方をトンボそっくりのあの大きな目でチロッと見た。と思ったら、

シュルッ!

目に見えない「何か」がギンちゃんの口の辺りから伸び、ボウフラを捕まえた。体長3-4センチのギンちゃんの体の長さと、同じくらいの距離を行って帰った「何か」だった。

ワオ!

幼少時にヤゴを飼ったことのあるわたしだけれど、こんな場面に遭遇したことは一度もない。興奮した。慌ててnetで「何か」がなんなのか、調べてみる。検索の結果、それが「下唇(かしん)」であることがわかる。ギンちゃんが家に来た日の晩、夫が「おうぇ、キモい!エイリアンみたい!」という感想を洩らしたが、まさにその通り。ギンちゃんは「エイリアン」とか「ギミック」とかに出てくるキモいキャラにそっくりなのだった。

こんなにもボウフラがいっぱいいる。エサに心配はない。わたしはギンちゃんも、他のヤゴと一緒の容れ物に入れて飼うことにした。…それが大間違いであるとはこれっぽっちも知らずに。

翌朝、ちいさなヤゴが一匹死んでいた。水が変わったせいなのだろうか。エサをたんまり用意したのに、ショックだった。14-1=13匹。

次の次の日の午後、「ギンちゃん、どう? もうトンボになりたくなっちゃった?」とかなんとか話しかけながら、容器を覗き込むと…。

ギンちゃんは小さなヤゴを捕まえてムシャムシャ食べていた。ギンちゃんにはボウフラよりもヤゴのほうがごちそうだったようだ。わたしはギンちゃんのいのちを愛しむ過程で重大な間違いをおかした。それはペットを擬人化する、という過ちだ。「ひとりぼっちでさみしいよね」そう思って仲間と一緒にしたつもりだったのだが、それはギンちゃんにとって「仲間と一緒!もうさみしくない!」という状態ではなく「やったー!ヤゴ食べ放題天国!」という状況に他ならなかったらしい。心の芯まで冷えきった、わたし。自己嫌悪に苛まれるわたし。ギンちゃんにこっぴどく裏切られたわたし。

ギンちゃん、愛してぬ。

ギンちゃんをもとの容器に戻した次の朝、年配の男性に意見を聞く機会があった。

「いいべ、それで。子どもたちも<共食い」を身をもって知った方がいいべ。泣くことないべ。それが世の中ってヤツなんだからよ。」

そういう考え方もあるのか、とびっくりした。どんなに慰めてもらっても、どこか心が晴れないんだけれど、めげずに育てていこうと思ったりして。

さっき、ギンちゃんを見てみたら、目が黒くなっていた。そろそろ旅立ちのときが近づいている印。
今、わたしはある生き物に夢中。

ヤゴ。

娘が小学校のプール清掃の際、14匹ものヤゴを捕まえて
きました。13匹のヤゴは、女性の小指の第一関節分の大きさ
なのだけど、残りの一匹がスゴイ! 女性の小指大の大きな
ヤゴなんです。図鑑やネットで調べてみたところ、おそらく
ギンヤンマの赤ちゃん。

最初見たときには絶叫した。田舎育ちのわたしでも、見た
ことのない大きさ・形状だったから。でも子ども時代にいっぱい
いっぱい虫を飼っては死なせてしまった苦い記憶がよみがえり、
もう二度と同じ失敗を繰り返したくないと思った。娘たちに
いのちを大事にする、愛おしむ、ってことを身をもって示したいと
強く思った。「14匹、全部羽化させてみせる!」

まず、入れ物。水槽はハムちゃんずに取られているので、他の
もので代用する。以前、花を水揚げするとき用に買ったプラスチック製の
「ザ・ゴミ箱」を使うことにする。砂利を洗って、たまたま熱帯魚の
水換え用に2〜3日、太陽にさらしておいた水があったので、
それを入れる。ヤゴが休めるように水草や、要らない植木鉢を
入れ、木の枝をしっかりと砂利に立てる。その枝につかまって
そのうちにきっとオトナのトンボにヘンゲするはずだ。

肝心なのはエサ。

ヤゴは生き餌しか食べないのだという。それを知らずに釣具屋で
冷凍のアカムシ(蚊の赤ちゃん)を買ってきてしまった。与えて
みてもものの見事に残ってしまい、水が汚れるばかり。それでも
なかなか忙しくて生きたエサを取りに(買いに)行くことができない。
仕方なく、少しずつ少しずつ冷凍アカムシを与えて様子をみる。
エサが足りないと共食いをしてしまうと聞き、ギンヤンマの子
(通称:ギンちゃん)だけ隔離する。サイズに違いがありすぎる
からだ。

さて、今日のこと。

裏に住む親しい友人と、大量買いしてきた野菜を分け合った折に
近況トークして、その別れ際「ねえ!変なこと聞くけどボウフラって
庭にいない?」

ボウフラは言わずと知れた蚊の赤ちゃん。そんなのが庭にわいて
ちゃいけないのである。近所のおじいさんやおばあさんに怒られて
しまう。わたしは声をひそめて聞いた。すると友人は悪魔的笑いを
浮かべて「いると思うよ、結構いっぱい」。探しておくわ、お願いね、
と言って別れた。

それからしばらくたってインターホンが鳴り、娘が帰ってきたのだろうと
思い、出ると彼女だった。「ボウフラ天国、食べ放題♪」と笑っている。
庭先におじゃますると、いるわいるわ! 釣具屋なんかに行かなくたって
大丈夫! 体長5ミリの細長い無数の物体が、くねくねくねくね元気よく
動きまわっている。普段のわたしならそんなもの、アスファルトにでも
ぶちまけていたに違いないが、今はボウフラさまさま。

いそいそと持ち帰り、ギンちゃんをボウフラ天国の中に入れてみた。
捕まえられたときに、娘や他の男の子たちとの間で
取り合いになったことが原因なのだろうと思うが、ギンちゃんはうちに
来てからずーっと本当に元気がなく「いつ死んでしまっても不思議では
ない」という状態だった。ここ2日くらいはようやく回復してきたようにも
思えたが…ギンちゃんはちゃんとイキのいいボウフラをキャッチすることが
できるんだろうか。

---つづく

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