草盗人

2005年7月1日
草盗人
家を出て30〜40分歩くと、タイル敷きの歩行者専用トンネルにたどり着く。
そのタイルが3〜4枚はがれたところに三つ葉が自生していた。

線路をくぐるトンネルは、どこか薄汚く、そして様々な排泄物を
思い起こさせる匂いがしている。

そんな場所で、どっこい頑張り生きている三つ葉を見るにつけ
複雑な気持ちになったものだった。よくもまあこんなところに。
誰かがわざと植えたのだろうか。大して土があるとは思えないのに。
なんと青々として元気そうなんだろ。たくましく。そしてけなげな。

けれどもどんなにけなげであろうとも青々していようとも、その三つ葉は
わたしにとっては食用ではなく、植物のたくましさを味わう観葉植物
だったのだ。

ところが1週間ほど前に突然三つ葉は消えてしまった。一枚の葉も残さずに
ごっそりと持ち去られてしまい、あとに残ったのは茶色い木犀の落ち葉だけ。

そうよねえ。どうみても三つ葉だったから仕方ないか。
でもどこかの家のすまし汁の実になってしまったかと思うと、
ちょっぴりさみしかった。

習慣というのはなかなか消えないもので、通るたびに三つ葉の
生えていた場所をつい目で確認してしまう。三つ葉の不在に
今日まで軽いガッカリを感じていたんだけれど、今朝は違った。

新しい葉が生えてきていたのだ。

草盗人はどうやら基本的ルールは守ったようだ。

「根は残す」。

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