西向きの窓辺にて

2007年1月16日
陽だまりに目を閉じ座る猫ねーちゃん。右手を持ち上げ、肉球にかみつきながら手入れする。ぺろりぺろりと舐めあげるたびに飛ぶ、唾液のつぶ。右手が終わると左手。左手が終わると胸、背中、おしりのあたり。丁寧にルーティンを終えたねーちゃんは、のの字の形に寝ころび目を閉じる。

あたしはねーちゃんから80センチほど離れた場所にいて本を読んでいる。事故で記憶を失った青年が綴る数年分の記録。静かとても静か。近所のおばあさんたちが井戸端会議している声を遙かに聞きながら、あぁそうだ、と気がついた。

なにもなければこうだったのか、って。

ねーちゃんが寝そべったまま「にゃー」と話しかけてきた。”考えても今は無駄だにゃ” と告げるその目はやっぱり愛に煙っていた。猫は気まぐれだというけれど、あたしの愛のほうがずっと気まぐれ。あの目で見つめられるといつも恥ずかしくなる。そしてあたたかくなる。

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