鮭の骨

2007年1月26日
高校生のとき、お弁当を食べていたらみほちゃんが「あ!ババァめ、殺す気か!」と鮭の骨を一本口から取り出しながら、お母さんを呪った。あたしは遠いところから自転車で通学するのに、自分で弁当を作らねばならぬ毎日に疲れ切っていたので「…罰当たりめが」とみほちゃんをたしなめた。鮭の骨くらいだまって自分で処理しなよ。もう二十年余も前のことなんだけど、時々思い出すワンシーン。

昨日末っ子を迎えに行ったあと、遅い昼食に焼き鮭を食べていたら、横でたべっこどうぶつをつまんでいた末っ子が「今日のお弁当のお魚、骨入ってたよ」と言った。わぁあたしは時を越えてみほちゃんの母の立場になった。しみじみしながら「とんちゃん、お母さんはね、とんちゃんがきっと上手に骨を出すことできるって信じて骨を入れたんだよ」と言ってみた。すると「出せたよ!」と誇らしげにしていた。

うまくいくとこれから骨を見つけるたびに、彼女、信頼を感じるかもしれない。でも少し大きくなったらすぐに本当のことに気づいてしまうだろう。魚の骨を抜かなかったあたしの怠惰は忘れて「物は言い様」というところだけおぼえていてほしい。

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