車と人とBBQコンロ、テント、タープがぎっしりのはずの川原には誰もいない。ずっと降り続いた雨が止んだばかりの夕刻だから。濡れた草をよけながらやっと川辺に着く頃には、ジーンズのすそにもくつにも水がしみ通ってきている。川原を歩いているとき、不安定な石に間違って乗ってしまうとグラッと来る。「おっと!」。その時だけ笑う。友とわたしには最近こぼすべき愚痴もなく、ウキウキ話すWhat’s newもない。水の流れる音を聞きながら黙り合っていると「ねぇ、あたしたち、日本野鳥の会の人みたいだよ」。確かに立っているのに疲れて、草陰にしゃがんでいた。トンビ、カモ、カラス、ツバメ、スズメ、セキレイ、アオサギ…隠れてまで観察したい鳥の数がここにはない。いるのはいつものレギュラーさんだけだもの。帰宅を促す「野中のバラ」のメロディーはどこから流れてくる? その1時間後、今度は腹時計が鳴って川をあとにする。わたしは川が好き。

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